こんな金型を作っています
某自動車メーカ様の補強部材(リィンフォースメント)を製造する、500tTRFのFO(成形工程)金型です。
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俗に一次型と言います。 ご覧の通り鉄のかたまりをNC加工機で加工し組み立ててありますが、この中に形状に切断された鉄板を搬送装置で投入して成形加工するものです。 この金型では成形ダイスが分割構造になっており、成形加工によって起こる横荷重には太いキーで対処し、上下方向の加圧力にはプレスボルスタのクッションホールの影響を考慮した大きな補強足(まくら)を配置して十分な強度を確保しています。 主要部の材質は設定生産数に対して適切に選択され、その用途や機能により鋼種と熱処理条件を吟味しています。 また、これら基本性能に影響しない部分では構造や加工内容に徹底的な合理化を行なっていますので、見た目はかなりシンプルに写っていると思います。
同じ部品の第3成型(曲げ)右側が切断と穴開け型(2次型)です。 
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第3成形型は単純な曲げ加工なのですが、製品を安定して加工し搬送する為の効果的なリフター構造と上型には窒素ガスシリンダを使用した押さえ(プレッシャーパッド)を設けています。下型の補強も十分です。 2次型のカムカットピアスはワーク(製品)が傾斜している為、結構複雑なリフター構造になっていますが、市販の傾斜吊りカムユニットを使用して出来るだけ合理的に仕立てています。 基本性能と品質は新興の看板です。
こちらは200t単発の絞り型です。
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生産数の少ない小型のガソリンタンクなので、ダイス、ポンチ、ブランクホルダをすべて鋳物にしています。 とは言えダイスにはダクタイル鋳鉄を使用し、製品が深いテーパ形状の為、ブランクホルダはダイセットのガイドポストを利用してガイドする構造にしています。 必用の無い部分は一切加工せず、鋳肌や溶断面がそのままで見てくれは非常に悪いですが、絞りの調整には十分時間を掛け、安定した製産の実現をお約束しています。
製作途中の中型トランスファー金型の写真です。
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右半分の平らな部分には、あつらえのカムユニットが乗ります。 この下ダイセット(ダイシュー)の穴はすべて一回の段取りで同時加工し、中央の形状部分のブロックもワイヤー放電の下加工後に位置決めノック(ダウエルピン)と形状を同時NC加工します。 無駄なあわせ組立作業を無くし部品の信頼性と再現性を保つ様に工夫しています。 もちろん主要部品の加工情報はCADデータとして保管、データベースで管理されていますので、納入後の設計変更改造や補修部品交換が必要になっても、適切且つ迅速に対応可能です。
オリンピックの聖火
下の派手な物が1998年長野五輪の聖火トーチ、上の地味な方が同年のパラリンピックのものです。
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お得意先がトーチ先端のバーナ部分を受注したので、弊社で簡易金型を作り、協力メーカさんで限定生産をいたしました。 ちゃんとした部品の設計が固まっていない状態からのスタートでしたし、納期に遅れると聖火が出発出来なくなるなどと脅かされまして、結構ひやひやものでした。 そうそうよく火が消えて話題になりましたが、決して私どもの不良ではございませんのであしからず。 でもニュースを聞いたときは心臓が一瞬止まりましたね。 この聖火は燃料に始めてガスを使用した画期的なものだそうで、たいまつの様にほわほわと火が出るようにするのが難しいのだそうです。 柄の中に細長いボンベがしこまれていますが、このボンベがねじ込みにくい構造だったのがトラブルの一因だったようです。 当地静岡では火が消えるどころか聖火ランニングの最中に沿道で火事があり大騒ぎにもなりました。  新興製作所もこんなところで、お国の為に貢献いたしております。