瞬発君 Flex
金型に使用するコイルスプリングを瞬時に検索できる EXCEL のマクロブックです。
コイルスプリングを金型に使用する場合、限られたスペースの中で、必要なたわみ量と圧力を発生でき、初期締め込み量が一定の範囲に収まる(ストリッパーボルトで締め込みが出来ないと困る)ものを選定しなければなりません。 必要なたわみ量から勘で目星を立てて、カタログ記載のばね定数から初期圧力、最大圧力や圧縮長さなどを電卓で計算、大体数回の繰り返し計算を行ってちょうど良いものを見つけ出します。 そんなの何十年も前から当たり前にやっていて、誰も面倒だという者はいませんでした。 でも慣れない人がたまにやると、すごく手間がかかることに気づいたりするのです。

これを合理化すべく開発した初代瞬発君は、目標とする初期圧や最大圧が決めた本数で発生出来るバネを絞り込む方式であり、すべての諸元を設定すると一発で結果が出る、いわばオートマチックタイプのアプリでした。
しかしこれが実に不人気。 何故か?と問うと、何も出てこないとか、思っていたものと違うのだと・・・。
よくよく考えてみれば、多くの条件を一度に設定するのがかえって分かり難いし、誤差を許容するパラメータのどれかが少しでも外れると除外対象になってしまい、しかもどのパラメータに不都合があるのかが特定し難かったのでした。
ばねの選定が一発で出来る、これが瞬発君命名の由来なのですが、欲をかきすぎていた様です。
そこで発想を転換、設計者が慣れ親しんだカタログ選定ライクに、絞り込みはバネ1本を対象として、一つ一つのパラメータを加えるごとに再計算させて逐一絞り込み結果を表示する様に改良してみました。
名付けて 瞬発君 Flex

初期圧もしくは最大圧とストロークの2つのパラメータを入れるだけで、ざっくり絞り込まれたものが目視できるので、さらに内外径や仕込み長制限などを加えて絞り込んでいきます。
パラメータを追加する都度絞り込みがなされるので、大変解りやすくなりました。
数種類まで絞り込みが出来たら、これだと思う一つの候補にカーソルを合わせてストボルト選定ボタンを押します。

単一の設計諸元表示に切り替えた状態で使用本数を設定して出力荷重を確認するので、スッキリして見やすくもなりましたし、同時にストリッパボルトの本数と配置を考慮しながら耐久性と設置本数の合理性確認を行える様にしました。

これで高荷重バネを使用した場合のストボルト強度不足を未然に防止出来ますし、低荷重バネ使用時に十分なストボルト本数も知ることができます。
安全性と合理性を事前に確認し製作工程に問題を持ち越さない、一品受注生産の金型設計では鉄則なのであります。